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障害年金の初診日とは|証明できないときの方法と落とし穴

障害年金の初診日とは|証明できないときの方法と落とし穴

障害年金の請求で、最初につまずきやすいのが「初診日」です。初診日によって、請求できる年金の種類も、保険料の納付要件も、障害の程度を判断する日も決まります。初診日があいまいなままだと、ほかの書類がそろっていても請求が進みません。

この記事では、障害年金でいう初診日の考え方と、転院・健康診断・前の病気との関係といったケース別の判断を整理します。あわせて、初診日を証明する「受診状況等証明書」の取り方と、初診の病院が閉院していたりカルテが残っていなかったりして証明が取れないときの方法、よくある落とし穴を説明します。

障害年金でいう「初診日」とは

初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。同じ病気やけがで転院している場合は、いちばん最初に医師等の診療を受けた日が初診日になります。

専門の病院にかかった日ではない

たとえば、体調不良で近所の内科を受診し、数か月後に心療内科でうつ病と診断された場合、初診日は原則として内科を受診した日です。病名がついた日や、専門の医療機関に移った日ではありません。最初の受診の時点で正しい病名がついていなくても、同じ症状で受診していれば初診日になり得ます。

発病日とは別のもの

「症状が出始めた日」は発病日で、初診日とは区別されます。症状があっても受診していなければ、初診日にはなりません。請求書類のうち「病歴・就労状況等申立書」には発病日と初診日の両方を書く欄があり、それぞれ別に記入します。

初診日によって決まること

病院の受付のイメージ

初診日が重要とされるのは、受給の可否に直結する判断の基準日になっているからです。

請求できる年金の種類

初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金、厚生年金保険に加入していれば障害厚生年金を請求します。障害厚生年金には3級や一時金の障害手当金があり、金額の計算方法も違います。初診日が退職の前か後かで、請求できる内容が大きく変わることがあります。

保険料納付要件を判定する日

保険料の納付要件は「初診日の前日」の時点で判定します。初診日が数か月ずれるだけで、判定の対象期間が変わります。初診日より後に未納分を納めても、納付要件の判定には反映されません。

障害認定日の起点

障害の程度を判断する障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を過ぎた日です。初診日が変われば障害認定日も変わり、どの時点の診断書が必要かも変わります。

ケース別の初診日の考え方

医療機関の記録を確認するイメージ

初診日の判断が分かれやすい代表的なケースを整理します。

ケース初診日の考え方
同じ病気で転院しているいちばん最初に医師等の診療を受けた日
健康診断で異常を指摘された原則として、その後に治療目的で受診した日。例外的に健診日が認められる場合あり
前の病気が原因で後の病気が起きた医学的な因果関係が認められれば、前の病気の初診日
知的障害を伴わない発達障害で、20歳以降に初めて受診その受診日
生まれつきの知的障害出生日
受診した月は分かるが日が分からない資料で月まで確認できれば、原則としてその月の末日

健康診断で異常を指摘された場合

健康診断を受けた日は、原則として初診日として扱われません。健診のあとに治療のため医療機関を受診した日が初診日です。ただし、治療目的の初回受診の証明が取れず、健診結果が医学的にただちに治療を要する内容だった場合には、本人の申立てにより健診日を初診日として認める取扱いがあります。この場合は、人間ドックの結果など健診日を証明する資料が必要です。

前の病気との因果関係がある場合

障害認定基準では、前の病気やけががなければ後の病気が起こらなかったと認められる関係を「相当因果関係」と呼び、前後を同じ傷病として扱います。この場合、初診日は前の病気で初めて受診した日です。本人は別の病気だと思っていても、初診日がずっと前にさかのぼることがあるため注意が必要です。

発達障害・知的障害の場合

発達障害は通常低年齢で発症しますが、知的障害を伴わない方が発達障害の症状で初めて受診した日が20歳以降であれば、その受診日が初診日になります。一方、生まれつきの知的障害は出生日が初診日とされ、日本年金機構の書類でも初診日欄に出生日を書くよう案内されています。

月までしか分からない場合

資料で受診した月までは確認できるものの日付が特定できない場合は、原則としてその月の末日を初診日とします。ただし、その月の中で加入していた年金制度が変わっている場合は、月末を初診日とはしない取扱いです。

初診日の証明は「受診状況等証明書」で行う

初診日は、本人の申告だけでは認められません。原則として、初診の医療機関に証明してもらいます。

受診状況等証明書とは

受診状況等証明書は、初診の医療機関がカルテにもとづいて、初診日や当時の受診状況を記入する書類です。様式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。発行には医療機関所定の手数料がかかることが一般的です。

診断書を書く病院が初診の病院なら不要

障害年金の診断書を作成する医療機関が初診の医療機関と同じであれば、診断書に初診日が記載されるため、受診状況等証明書は必要ありません。初診の医療機関と現在の医療機関が違う場合に提出します。

取得するときの手順

まず、初診の医療機関に電話で、カルテが残っているか、受診状況等証明書の作成に応じてもらえるかを確認します。次に、様式を持参または郵送して依頼します。受け取ったら、初診日・傷病名・紹介先の記載が、本人の記憶や病歴・就労状況等申立書と食い違っていないかを確認します。記載に「前医あり」とあれば、さらに前の医療機関が初診の可能性があるため、そちらにも確認が必要です。

初診の病院で証明が取れないときの方法

古い書類を探すイメージ

閉院していたり、カルテの保存期間を過ぎて廃棄されていたりして、初診の医療機関の証明が取れないことは珍しくありません。その場合でも、別の資料で初診日を認めてもらえる方法が用意されています。

受診状況等証明書が添付できない申立書を出す

初診の医療機関の証明が取れないときは、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、取れなかった理由を記入します。あわせて、診察券、医療機関や薬局の領収書、お薬手帳、健康保険の給付記録(レセプト)、生命保険の請求時の診断書、身体障害者手帳の申請時の診断書、交通事故証明書、事業所の健康診断の記録など、当時の受診を示す資料を探して添付します。2番目以降に受診した医療機関の受診状況等証明書やカルテに、前医の受診日が書かれていることもあります。

第三者証明を用意する

初診日ごろの受診状況を知っている第三者に、「初診日に関する第三者からの申立書(第三者証明)」を書いてもらう方法です。20歳以降に初診日がある場合は、原則として2名の第三者証明と、申し立てた初診日に関する参考資料をそろえます。証明するのは、受診状況を直接見ていた方、当時本人や家族から聞いていた方、または請求のおおむね5年以上前に聞いていた方です。請求者の三親等内の親族は第三者証明を行えません。

当時の医師・看護師による証明

初診日ごろに受診した医療機関の医師や看護師など、医療従事者が直接見ていた受診状況を証明する場合は、1名の証明で足ります。閉院した医院の元院長や、当時の看護師に連絡がとれる場合に検討します。

請求の5年以上前に作られた記録を使う

請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテなどに、本人が申し立てた初診日が記載されていれば、それを初診日として認める取扱いがあります。たとえば、転院先のカルテに「〇年〇月に△△医院を受診」と書かれている場合です。初診日が一定期間内にあることを資料で示し、その期間中ずっと納付要件を満たしていれば、申し立てた初診日を認める方法もあります。

方法主な書類ポイント
参考資料で示す申立書、診察券・領収書・レセプト等日付や医療機関名が分かる客観的な資料ほど有効
第三者証明(一般の方)申立書、第三者証明2通、参考資料三親等内の親族は不可
第三者証明(医療従事者)申立書、第三者証明1通当時直接見ていた受診状況を証明
5年以上前の記録申立書、カルテの写し等請求の5年以上前に医療機関が作成したもの
一定期間内にあることを示す申立書、期間の始まりと終わりを示す資料その期間中ずっと納付要件を満たしていることが条件

20歳前に初診日がある場合の特例

20歳前の、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件が問われません。そのため、初診日を厳密に特定しなくても、20歳前に初診日があることが確認できれば足りる場面があります。

日本年金機構の案内では、2番目以降に受診した医療機関の受診状況等証明書や診断書があり、その受診日が18歳6か月より前である(障害認定日が20歳到達日以前と確認できる)場合などは、本人が申し立てた初診日が認められるとされています。その受診日より前に厚生年金の加入期間がないことも条件です。20歳前の時期の受診状況についての第三者証明も、2通(医療従事者は1通)で利用できます。なお、20歳前でも会社に勤めて厚生年金に加入していた期間に初診日がある場合は、障害厚生年金の対象となり、通常の証明が必要です。

初診日でよくある落とし穴

確認事項をチェックするイメージ

記憶している日付と記録が違う

本人が覚えている初診日と、医療機関の記録が数か月ずれていることはよくあります。初診日がずれると納付要件の判定期間も変わるため、記憶だけで書類を作らず、記録で確認してから記入します。

書類同士の記載が食い違う

受診状況等証明書、診断書、病歴・就労状況等申立書のあいだで、初診日や受診の経過が食い違うと、審査で確認が入り、時間がかかったり不利な判断につながったりします。提出前に3つの書類を並べて、日付と医療機関名をそろえて確認することが大切です。

「前の受診」を見落とす

うつ病の前に不眠で内科にかかっていた、腎臓の病気の前に糖尿病で通院していた、というように、本人が別の病気だと思っている受診が初診日と判断されることがあります。初診日が会社員時代にさかのぼると障害厚生年金になる一方、証明がより難しくなることもあります。受診歴は思い当たるものをすべて書き出して確認します。

よくある質問

初診の病院が閉院しています。請求はあきらめるしかありませんか

あきらめる必要はありません。受診状況等証明書が添付できない申立書に、診察券や領収書、2番目の病院のカルテの記載、第三者証明などを組み合わせて初診日を示す方法があります。どの資料が使えるかは個別の事情で変わるため、早めに専門家へ相談してください。

受診状況等証明書の作成を病院に断られました

カルテが残っていない場合、医療機関は証明を書けません。その場合は「カルテがないため作成できない」ことを確認したうえで、受診状況等証明書が添付できない申立書を作成し、ほかの資料で初診日を示します。

家族に第三者証明を書いてもらえますか

請求者の三親等内の親族は第三者証明を行えません。友人、近所の方、職場の同僚、学校の先生、民生委員など、親族以外で当時の受診状況を知っている方に依頼します。

健康診断の日を初診日にできますか

原則としてできません。ただし、治療目的の初回受診の証明が取れず、健診結果がただちに治療を要する内容だった場合は、申立てにより健診日が認められる場合があります。

初診日がはっきりしないまま請求しても大丈夫ですか

おすすめしません。初診日が認められないと、ほかの条件を満たしていても不支給になることがあります。初診日の確定と証明の準備を先に終えてから、診断書の依頼に進むのが確実です。

まとめ

障害年金の初診日は、その病気やけがで初めて医師等の診療を受けた日です。初診日によって請求できる年金の種類、保険料納付要件の判定、障害認定日が決まるため、請求準備の最初に確定させる必要があります。転院、健康診断、前の病気との因果関係、発達障害などでは判断が分かれやすく、記録で確かめることが欠かせません。

初診の医療機関で受診状況等証明書が取れない場合でも、申立書と参考資料、第三者証明、5年以上前の記録などで初診日を示す方法があります。カルテは時間とともに失われていくため、障害年金を考え始めた段階で、早めに初診の医療機関へ確認しておくことをおすすめします。

蓮池社会保険労務士事務所では、障害年金の請求について、初診日の調査や証明書類の収集から書類の作成・請求までサポートしています。大阪を中心に対応しています。サービス内容と料金案内をご覧のうえ、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

参考(公的機関の情報)

※本記事は2026年10月時点の法令・制度にもとづく一般的な解説です。個別のケースでは結論が異なる場合があります。

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