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子ども・子育て支援金の給与計算|負担額の目安と明細の扱い

子ども・子育て支援金の給与計算|負担額の目安と明細の扱い

2026年(令和8年)4月分の保険料から、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。会社員の場合、5月に支払う給与から天引きされているケースが多く、給与計算の担当者や従業員から「明細のどこに入っているのか」「いくら増えたのか」という質問が出やすい制度です。

この記事では、支援金のしくみと金額の目安、給与・賞与での計算方法、給与明細への表示、そして会社として確認しておきたい対応を順に説明します。

数字は2026年度(令和8年度)の公表内容にもとづいています。

子ども・子育て支援金とは

子ども・子育て支援金は、少子化対策の財源の一部を、医療保険のしくみを通じて全世代と企業から集める制度です。2023年12月に政府がまとめた「こども未来戦略」の加速化プランを支える財源として位置づけられています。

医療保険料とあわせて集める拠出金

税金ではなく、社会保険料の一つとして扱われます。会社員は協会けんぽや健康保険組合、自営業などの人は国民健康保険、75歳以上の人は後期高齢者医療制度を通じて納めます。会社員の場合、支援金の半分は会社が負担します。

何に使われるのか

こども家庭庁の資料では、児童手当の拡充(所得制限の撤廃、高校生年代までの延長など)、妊婦のための支援給付、出生後休業支援給付、育児時短就業給付、こども誰でも通園制度、国民年金第1号被保険者の育児期間中の保険料免除などの財源に充てるとされています。

「実質的な負担はない」という説明について

国は、社会保障の歳出改革によって社会保険料の負担を軽くし、支援金による負担と相殺するため、実質的な負担は生じないと説明しています。ただし、給与明細の上では支援金の分だけ控除額が増えます。従業員への説明では、この2つを分けて伝えると誤解が少なくなります。

いつから・いくら徴収されるか

赤ちゃんを抱く家族

会社員(被用者保険)の場合の徴収開始時期と率は次のとおりです。

2026年4月分(5月納付分)から

協会けんぽの一般被保険者は、2026年4月分の保険料(5月納付分)から支援金が加わりました。任意継続被保険者は4月分(4月納付分)からです。

支援金率は0.23%(全国一律)

2026年度の支援金率は0.23%で、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合などの被用者保険で一律です。支援金額(月額)は「標準報酬月額×0.23%」で、これを会社と本人で半分ずつ負担します。都道府県ごとに異なる健康保険料率とは違い、地域による差はありません。

賞与にもかかる

賞与からも「標準賞与額×0.23%」の支援金を、健康保険料と同じように労使折半で納めます。たとえば標準賞与額50万円なら、支援金は1,150円、本人負担は575円です。

年収(給与と賞与の合計)本人負担(月額の目安)
200万円192円
400万円384円
600万円575円
800万円767円
1,000万円959円

出典:こども家庭庁「年収別の支援金額の試算(令和8年度)」。年収に0.23%を掛けて12で割り、その2分の1を本人負担としたものです。会社も同額を負担します。

給与計算での扱い

電卓で給与を計算する様子

支援金は健康保険料と同じ流れで計算・控除・納付します。新しく届け出る書類はありませんが、給与計算の設定は確認が必要です。

控除のタイミング

社会保険料は、前月分を当月の給与から控除する会社が一般的です。この場合、4月分の支援金は5月支給の給与から控除します。当月分を当月の給与から控除している会社では、4月支給の給与から控除する扱いになります。自社がどちらの方式かを確認しておきましょう。

計算例(大阪府・協会けんぽの場合)

協会けんぽ大阪支部の2026年度の健康保険料率は10.13%(2026年3月分から)、介護保険料率は全国一律1.62%です。標準報酬月額30万円の人を例に、本人負担を計算すると次のようになります。仮定の計算例です。

項目40歳未満・65歳以上75歳未満40歳以上65歳未満
健康保険料(10.13%の半分)15,195円15,195円
子ども・子育て支援金(0.23%の半分)345円345円
介護保険料(1.62%の半分)なし2,430円
本人負担の合計15,540円17,970円

会社も同額を負担します。2026年3月分で健康保険料率が、4月分で支援金が変わったため、2か月続けて控除額が変わった会社も多かったはずです。

支援金は標準報酬月額にもとづいて計算するため、9月に定時決定(算定基礎届)で標準報酬月額が変わった人や、固定給の変動で随時改定(月額変更届)があった人は、健康保険料と同じタイミングで支援金も変わります。入社・退職月の扱いも健康保険料と同じで、資格を取得した月から、資格を喪失した月の前月分までかかります。支援金だけ別のルールで計算する必要はありません。

端数処理は保険料額表で確認する

給与から控除する本人負担分に1円未満の端数が出る場合の処理は、健康保険料と同じ考え方です。実務では、協会けんぽ各支部や健康保険組合が公表している保険料額表で、健康保険料・支援金・介護保険料の額を確認するのが確実です。会社が納める額は、納入告知書に記載された額です。

健康保険組合に加入している場合

健康保険組合でも支援金率は0.23%です。ただし、健康保険料率は組合ごとに決まっているため、支援金の扱いとあわせて組合からの通知を確認してください。

給与明細の表示

給与明細などの書類

明細の書き方について、会社から問い合わせを受けることが多い点です。

内訳の表示は法令上の義務ではない

こども家庭庁は、健康保険料の内訳として支援金額を示すことは法令上の義務ではないとしています。そのうえで、社会全体でこどもや子育て世帯を応援する制度の趣旨をふまえ、給与明細に内訳を記載する取り組みへの協力を求めています。

表示する場合の書き方の例

給与ソフトで項目を追加できる場合は、「健康保険料」「子ども・子育て支援金」「介護保険料」を分けて表示すると、従業員が金額を確かめやすくなります。項目を増やせない場合は、健康保険料の欄に合算し、「健康保険料(子ども・子育て支援金を含む)」のように注記する方法もあります。どちらの場合も、社内で表示方法を統一しておくことが大切です。

内訳を表示すると、従業員から「この項目は何か」と聞かれることがあります。明細の配布にあわせて、「2026年4月分から、健康保険料とあわせて子ども・子育て支援金(標準報酬月額の0.23%を会社と本人で折半)を納めることになりました」といった一文を添えておくと、個別の問い合わせを減らせます。

支援金がかからない・別の扱いになるケース

すべての人が同じように負担するわけではありません。

産休・育休中は免除される

産前産後休業や育児休業で健康保険料・厚生年金保険料が免除される期間は、支援金も免除されます。免除を受けるための手続きは、従来どおり会社が産前産後休業取得者申出書や育児休業等取得者申出書を提出します。

被扶養者に個別の負担はない

健康保険の被扶養者(扶養に入っている家族)は、健康保険料と同じく支援金を個別に負担しません。支援金は被保険者の標準報酬月額をもとに計算されます。

国民健康保険・後期高齢者医療制度の人

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している人は、各市町村や広域連合が決める保険料とあわせて納めます。この場合は会社負担はなく、本人(世帯)が全額を負担します。国民健康保険では、18歳年度末までのこどもについて、支援金分の均等割額が全額軽減されます。

会社として確認したいこと

社内で説明を行う様子

2026年度の徴収はすでに始まっていますが、運用面で見直しておきたい点があります。

給与ソフト・賞与計算の設定

給与ソフトの保険料率が更新されているか、賞与の計算にも支援金が含まれているかを確認します。夏の賞与で支援金の控除が漏れていた場合は、冬の賞与の前に修正しておきましょう。

従業員への説明

控除額が増えた理由を聞かれたときに、担当者が同じ説明をできるよう、支援金率、計算方法、会社も同額を負担していることを短い文書にまとめておくと便利です。支店や店舗ごとに給与担当が分かれている会社では、説明の内容がばらつかないよう本社で文面をそろえておきましょう。

法定福利費の見込み

会社負担分は、標準報酬月額と標準賞与額の合計に0.23%の半分を掛けた額です。年収の総額が1億円の会社なら、年間で約11.5万円が目安になります。支援金率は来年度以降に変わる見込みがあるため、毎年度の予算で見直してください。

2027年度以降の見通し

支援金の総額は、2026年度から2028年度にかけて段階的に増やす計画です。こども家庭庁の資料では、被用者保険全体で2028年度(令和10年度)に約9,000億円を拠出する見込みが示されています。支援金率は年度ごとに国が示すため、2027年度の率は公表をもって確認してください。

よくある質問

パートやアルバイトも支援金を負担しますか

勤め先の健康保険に加入している人は負担します。加入していない人は、国民健康保険などを通じて負担するか、家族の扶養に入っていれば個別の負担はありません。

70歳以上の従業員はどうなりますか

70歳以上75歳未満で勤め先の健康保険に加入している人は、健康保険料とあわせて支援金がかかります。75歳以上の人は後期高齢者医療制度で負担します。

支援金は年末調整で控除できますか

支援金は社会保険料として、健康保険料とあわせて給与から控除される扱いです。年末調整では、ほかの社会保険料と同じく給与から控除した額を計上します。

標準報酬月額が上限の人の支援金はいくらですか

健康保険の標準報酬月額の上限は139万円です。この場合、支援金は139万円×0.23%=3,197円で、本人負担はその半分です。

任意継続被保険者の支援金はどうなりますか

協会けんぽの任意継続被保険者は、2026年4月分(4月納付分)から支援金率0.23%が加わっています。会社負担はないため、全額を本人が納めます。

子育て世帯も負担するのですか

負担します。こども家庭庁は、こどもはやがて社会保障の担い手になるため、全世代と企業で支える仕組みにしたと説明しています。

まとめ

子ども・子育て支援金は、2026年4月分の保険料から、健康保険料とあわせて徴収されています。会社員の支援金率は全国一律0.23%で、標準報酬月額と標準賞与額に掛けた額を労使で折半します。年収400万円の人なら本人負担は月384円が目安です。

新しい届出はありませんが、給与ソフトと賞与計算の設定、明細の表示方法、従業員への説明はあらためて確認しておきたい点です。支援金率は2027年度以降に見直される見込みなので、毎年度の公表を確認してください。

蓮池社会保険労務士事務所では、子ども・子育て支援金を含む社会保険料の計算や手続きについて、顧問契約の中でサポートしています。大阪を中心に対応しています。サービス内容と料金案内をご覧のうえ、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

参考(公的機関の情報)

※本記事は2026年10月時点の法令・制度にもとづく一般的な解説です。個別のケースでは結論が異なる場合があります。

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